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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「未来の想い出 Last Christmas」

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 92年作品。藤子・F・不二雄がこの映画のために書き下ろした同名コミックをもとに、森田芳光監督が映画化。現在までの記憶を持ったまま10年前に生まれ変わった二人の女性が“未来の想い出”を利用して人生の成功を収めようとする。

 公開当時にはすでに“ひどい”だの“最低!”だのといった評判が立っていたので、観る前はかなりの覚悟を決めていたせいか、それほど腹が立たなかった。少なくともその頃の森田監督の作品にしてはマシな部類ではないかと思う。しかしそれは「キッチン」とか「おいしい結婚」だとかの低レベルの作品群と比べての話だということを強調しておきたい。



 清水美砂扮する主人公の一人は売れない漫画家だが、向こう10年間のヒット作を知っているのを利用し、それのモノマネで一躍売れっ子になる。しかし、いくらヒットする題材を扱ったところで実力が無ければダメである。“現在”までの主人公が売れないままでいるのは実力がないために違いなく、ネタだけ仕入れても簡単にヒットするわけがない。そのあたりの展開が安易である。

 工藤静香扮するもう一人の主人公に至っては閉口するしかない。彼女も10年間の“記憶”を利用して株式評論家になり成功する。でも、いくら将来を予見できても、平凡な主婦である彼女がいきなり評論家になれるはずがない。それにしてもこの映画での工藤静香は、当時テレビでよく見かけた工藤静香とまったく同じである。これでは映画に出ている意味がない。もっともそれは森田監督の演技指導がお祖末なせいであるが・・・・。

 デビット伊東や和泉元彌らが演じる、彼女たちが好きになる男たちにしたってまったく魅力がなく、どうしてこんなのに惚れるのか納得できないし、その他脇役の連中にしてもいたずらにマンガチックで感心せず、要するに感情移入できるキャラクターが一人もいない。そして、1回だけだと思っていたタイムスリップを2回もやると、いいかげんうんざりしてくる。もうひとひねり欲しいところだ。

 なお、題名はもちろんWHAM!の往年のヒット曲から取っており、劇中にもそのナンバーは流れる。そういえばWHAM!のジョージ・マイケルは2016年に惜しくも世を去ってしまったが、昔WHAM!のファースト・アルバムを初めて聴いたときには驚いたものだ。この若さでこのクォリティ。もう彼の新たなディスコグラフィーに接することは出来ないのは、実に残念だ。

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