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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ザ・サークル」

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 (原題:THE CIRCLE)つまらない。題材に対する掘り下げがほとんど成されていないばかりか、話の展開が行き当たりばったりで、中盤以降は映画作りそのものを放り出したような惨状だ。しかも、キャスティングおよび演技は最悪。まさに本年度ワーストワンの有力候補であり、(少なくとも個人的には)存在価値はあまり無いと断言できる。

 サンフランシスコ近郊に住む若い女メイは、水道会社のコールセンターで働く派遣社員だ。顧客からのクレームを処理するため、電話口では謝ってばかりという、ストレスが溜まる生活を送っている。それでいて給料は安い。ある日、大手SNS企業“ザ・サークル”に勤める友人アニーから、その会社が新規に社員を募集しているという話を聞く。メイは喜び勇んで面接に臨み、採用されることになる。

 だが、社内の雰囲気は一般社会とは懸け離れた特殊なもので、メイは戸惑うばかり。そんな中、難病を患う父親をフォローするメイの姿がカリスマ経営者のベイリーの目に留まる。同社が開発した超小型カメラのモニターとして抜擢されたメイは、自身の24時間をネット上で公開することに。するとアッという間に一千万人を超えるフォロワーが集まり、社内外で広く知られる存在になってゆくが、そんな状態が彼女のメンタルに影響を与え始める。

 とにかく、主人公メイの底抜けの愚かさに脱力する。思いがけず有名企業に入り込めたことに(最初は面食らうが)舞い上がり、まるで“覗き部屋”みたいなサービスの試験を嬉々として引き受けたかと思うと、周りの人間のプライバシーを平気で曝して炎上させ、果てはSNSアカウントを紐付けして参政権に利用するとかいう妄言を得意気に披露する始末。

 また“ザ・サークル”内の、まるで新興宗教みたいな有り様は、作者の“IT企業なんてロクなもんじゃない”という皮相的な見方を如実に示しているようで閉口した。結局、メイは自らの所業が重大なアクシデントを引き起こしたことを反省もせず、何となく自身で折り合いをつけてしまう。

 ジェームズ・ポンソルトの演出はテンポが悪くてパッとせず、感覚的には20年は遅れていると思われる映像ギミックを堂々と全面展開。考えてみたら主人公に扮するエマ・ワトソンの出演作を今回初めて観たことになるが、彼女には全然魅力を感じない。演技は硬く、大して可愛くもないのだ。トム・ハンクスがベイリー役で出てくるが、全然見せ場が無い。他のキャストに関しては言及する気も起こらない。

 唯一の見どころは、歌手のベックが“ザ・サークル”内のアトラクション(?)に特別出演していること。短いシーンだったが、彼の存在感だけは印象付けられた。

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