(原題:Blue Velvet )86年作品。デイヴィッド・リンチ監督の代表作の一つ。アブノーマル度においてはデビュー作の「イレイザーヘッド」はまさに決定版であり、今だにこれを超えるものには出会ってはいないが、本作の変態度も相当なものだ。
甘いテーマ曲とキラキラと明るい映像をバックに初老の男が庭木に水をやっている平和な場面から映画は始まる。しかし、次の瞬間男は発作を起こして倒れる。カメラが下に移動すると何やら得体のしれない虫がうごめいていて・・・・・、という冒頭のシーンからして異様な雰囲気でこの監督の作品らしい。
その男の息子ジェフリー(カイル・マクラクレン)は父を病院に見舞った帰り道、草むらに落ちていた人間の片耳を拾う(もちろん、蟻がたかって気持ちが悪いやつ)。警察に届けるがまともに相手にしてもらえない。しかし、彼は刑事の娘の助力を得て、汚いアパートに住むあやしい女性歌手ドロシー(イザベラ・ロッセリーニ)の部屋に留守中忍び込む。しかし、突然帰宅したドロシーに彼は倒錯したセックスの相手をさせられ、さらにそこに現れたフランク(デニス・ホッパー)とドロシーとの異様な行為をクローゼットから覗き見るハメになる。
デニス・ホッパーがスゴイ。悪態をわめき散らし、酸素マスクで馬力をつけ、青いベルベットの布を口にくわえて“ママァ、ママァ”とうわごとを言いながら興奮するありさまは変態そのもの。同じような異常さは、怪しげな店を経営しているオカマのベン(ディーン・ストックウェル)についても言える。厚化粧の彼がバックの甘い歌声に合わせて歌うふりをしてみせる場面は腐った妖気がそこかしこに漂い、吐き気をもよおす(注:これはホメているのだ ^^;)。
でも、圧巻はイザベラ・ロッセリーニだろう。濃いブルーのアイシャドーに下品な赤い口紅、張りを失ったバストに疲れた肌、「ホワイトナイツ/白夜」や「今ひとたび」などで清純な役をやった女優と同一人物とはとても思えない変貌ぶりだ(知ってる人もいると思うが、彼女は大女優イングリッド・バーグマンの娘である)。
捨てられた片耳をめぐるサスペンス・ミステリーはたいしたことはない。もとよりそれを重視した作品ではないからだ。なんといってもデイヴィッド・リンチの異常な世界を楽しむ映画なのだ。脚本がどうのこうのといったことを言わせない、ショッキングなシーンの連続と絶妙の音響効果で最後までまったく飽きさせない。リンチ監督はこの作品でアカデミー監督賞の候補にまでなっている。
甘いテーマ曲とキラキラと明るい映像をバックに初老の男が庭木に水をやっている平和な場面から映画は始まる。しかし、次の瞬間男は発作を起こして倒れる。カメラが下に移動すると何やら得体のしれない虫がうごめいていて・・・・・、という冒頭のシーンからして異様な雰囲気でこの監督の作品らしい。
その男の息子ジェフリー(カイル・マクラクレン)は父を病院に見舞った帰り道、草むらに落ちていた人間の片耳を拾う(もちろん、蟻がたかって気持ちが悪いやつ)。警察に届けるがまともに相手にしてもらえない。しかし、彼は刑事の娘の助力を得て、汚いアパートに住むあやしい女性歌手ドロシー(イザベラ・ロッセリーニ)の部屋に留守中忍び込む。しかし、突然帰宅したドロシーに彼は倒錯したセックスの相手をさせられ、さらにそこに現れたフランク(デニス・ホッパー)とドロシーとの異様な行為をクローゼットから覗き見るハメになる。
デニス・ホッパーがスゴイ。悪態をわめき散らし、酸素マスクで馬力をつけ、青いベルベットの布を口にくわえて“ママァ、ママァ”とうわごとを言いながら興奮するありさまは変態そのもの。同じような異常さは、怪しげな店を経営しているオカマのベン(ディーン・ストックウェル)についても言える。厚化粧の彼がバックの甘い歌声に合わせて歌うふりをしてみせる場面は腐った妖気がそこかしこに漂い、吐き気をもよおす(注:これはホメているのだ ^^;)。
でも、圧巻はイザベラ・ロッセリーニだろう。濃いブルーのアイシャドーに下品な赤い口紅、張りを失ったバストに疲れた肌、「ホワイトナイツ/白夜」や「今ひとたび」などで清純な役をやった女優と同一人物とはとても思えない変貌ぶりだ(知ってる人もいると思うが、彼女は大女優イングリッド・バーグマンの娘である)。
捨てられた片耳をめぐるサスペンス・ミステリーはたいしたことはない。もとよりそれを重視した作品ではないからだ。なんといってもデイヴィッド・リンチの異常な世界を楽しむ映画なのだ。脚本がどうのこうのといったことを言わせない、ショッキングなシーンの連続と絶妙の音響効果で最後までまったく飽きさせない。リンチ監督はこの作品でアカデミー監督賞の候補にまでなっている。