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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「GO」

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 2001年作品。決して軽くはないテーマを見事にライトなタッチで綴り、最後まで飽きさせず、しかも考えさせられるという、明朗娯楽編の手本みたいな映画だ。普段は三流のシャシンばかり垂れ流している行定勲監督も、長編映画では途中で息切れしてしまいがちのシナリオ担当の宮藤官九郎も、良い素材に恵まれれば結構ヴォルテージの高い仕事をするものだ。金城一紀による原作(直木賞受賞作)と比べても、決してひけは取らない。

 落ちこぼれ高校生の杉原は、実は在日韓国人三世だ。勝手に彼の国籍を朝鮮から韓国に変えた父親と反目し合いながらも、それなりに楽しく日々を送っていた。しかし、親友で優等生の正一やガールフレンドの桜井とのシビアな関係性は、そんなチャラい杉原にも人生の決断を迫る。



 自分は何者であるのかという、青春映画に共通したモチーフはここでも踏襲されている。結局、自分は他の何者でもなく“自分は自分だ”という自覚に収斂される事柄なのだ。それがたまたま在日韓国人だったという“状況”は示されるものの、それは出発点でしかなく、肯定的に受け入れて生きるしかないのである。

 キャスティングが素晴らしい。存在感はあるが演技が少し硬い窪塚洋介の周りに山崎努と大竹しのぶの両親、民族学校教師の塩見三省や先輩役の山本太郎、果てはタクシー運転手の大杉漣とか冴えない警官の萩原聖人とかヤクザの親分の上田耕一などのクセ者を、きら星のごとく贅沢に配置し、それらの素材を破綻無く使いこなしている時点でこの映画の成功は約束されたようなものだ。

 しかも演出にテンポがあり、飽きさせない。在日朝鮮人の問題をからめた映画のモチーフは李相日監督の「青 ~chong~」に通じるものがあり、同じように“差別”や“イデオロギー”を前面に出さず普遍的な青春ドラマに昇華しているのもポイントが高い。誰にでも薦められる明朗娯楽編である。さらに、この頃の柴咲コウが魅力的に撮られているところも見逃せない。

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