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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「関の彌太ッぺ」

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 昭和38年東映作品。福岡市総合図書館にある映像ホール“シネラ”で上映された中村錦之助特集の中の一本。股旅物の傑作とされているが、正直それほどのシャシンとは思わないものの、随所に心惹かれるシーンがあり、退屈しないで観ることが出来た。

 生き別れの妹を探して旅をする彌太は、その道中で川で溺れたお小夜という少女を助ける。ところがお小夜の父親は泥棒行脚の最中で、ヤクザ者の怒りを買って斬り殺されてしまう。やむなく彌太はお小夜を実家だという宿屋に連れて行き、何とか彼女を引き取ってもらう。その後彌太はやっと妹の行方を突き止めるが、妹はすでに亡くなっていた。



 10年の歳月が流れ、捨て鉢な生活を送った彌太は、ヤクザの用心棒に身をやつしていた。かつて訪れた宿場町にやってきた彼は、宿屋の娘として成長したお小夜が命の恩人である旅人を探しているという噂を聞く。しかし、荒んで容貌も変わった自分が名乗り出るわけにはいかない。そんな中、お小夜の父親を殺した箱田の森介が、自分がその旅人であると主張して巧みに宿屋に入り込む。激高した彌太は森介を斬り捨てるが、彌太も飯岡衆との出入りを控えていた。

 気になったのが、フィルムを切り貼りした箇所が多数あり、それが丸分かりになっている点だ。とにかく画像がギクシャクとして見にくい。まあ、昔はこんな状態でも観客は気にしなかったのかもしれないが・・・・。そして成長したお小夜を演じる十朱幸代が垢抜けずに興ざめだ。劇中では“器量よし”という設定なので余計に違和感がある。彼女が魅力を発揮するのはもう少し後のことなのだろう。

 とはいえ、彌太を演じる中村錦之助のスター性のある存在感が画面を横溢すると、それらの欠点はあまり気にならなくなる。

 “金はなくなったけど、おいら、お星さまになったような気持ちだぜ”とか“この娑婆には辛い事、悲しい事がたくさんある。だが忘れるこった。忘れて日が暮れりゃあ明日になる。(空を見上げて)ああ、明日も天気か”とかいう泣かせるセリフの連続。そして、むくげの花の咲く垣根越しで語り合う彌太とお小夜のシークエンスは、評判通り素晴らしい。山下耕作監督の力量が発揮されている。

 森介に扮する木村功の海千山千ぶりも見事だし、この手の映画には珍しくラストが斬り合いではないのも効果的で、深い余韻が残る。

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