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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「世界の果ての通学路」

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 (原題:Sur le chemin de l'ecole)興味深い題材で、出来も良い。登校すること自体が“一大アドベンチャー”になっている子供達を取り上げたフランス製のドキュメンタリーだが、子供にとっての教育の重要さを再確認すると同時に、本作が優れたロードムービーである点も強調しておきたい。

 ケニアに住むジャクソンは、毎日15キロ先にある小学校を目指し、妹と二人で猛獣もいるサバンナを横断する。カルロスとその幼い妹は、地平線の彼方にある学校まで広大なパタゴニア平原を馬に乗って通学する。友だち三人と寄宿舎を目指し、モロッコの険しいアトラス山脈を4時間かけて歩くザヒラ。幼い弟たちに車椅子を押されながら、学校に向かって道なき道を進むインドのサミュエル。映画はこの四組のエピソードを平行して描く。

 純然たる実録物ではなく、各パートには若干の“演出”が挿入される。しかし、それが作品の瑕疵になっていないのは、テーマの重要性を補完しているのはもちろん、その“演出”が映画の面白さに貢献しているからだ。

 特にザヒラ達が遅刻しそうになってヒッチハイクを利用する場面や、サミュエル達をフォローする街の人々の善意などは、イランの児童映画の秀作群を思い起こさせる段取りの巧みさで感心させられる。監督パスカル・プリッソンの腕前は大したものだ。子供達を支える家族の愛情の描出も申し分ない。

 そして、やっぱり痛感するのは子供を学校に通わせることがいかに大事であるかだ。・・・・などと書くと“学校がイジメの温床だったりする!”とか“学校に行く以外の選択肢もある!”とかいったネガティヴな意見が返ってくるのかもしれないが、そんなのは“各論”に過ぎない。子供に教育を受けさせること、集団行動の何たるかを体感すること、それには学校というシステムが“総論”として不可欠であることは論を待たない。

 世界的に見れば、学校に行って辛い思いをする子供がいることよりも、学校に行けずに難儀な人生を歩まざるを得ない子供が大勢いることの方が、はるかに大きな問題なのだ。出演する子供達は、それぞれ将来の夢を語る。もちろん実現するためには多大な努力が必要になるが、彼らの頑張りを見ていると、それは決して不可能では無いと思えてくる。各地域の風土を活写した美しい映像も印象に残り、これはドキュメンタリーの佳作として評価したい。

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