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Channel: 元・副会長のCinema Days
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最近購入したCD(その29)。

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 オムニバスのCDセットである「My Dear」を購入してみた。イージーリスニングばかりを集めた、5枚組のボックスである。ポール・モーリアやレイモン・ルフェーヴルなど、この分野の代表的なミュージシャンを網羅しており、全100曲が収録されている。なお、この商品はCDショップの店頭では扱われておらず、通販のみである。

 どうしてこの商品を買ったのかというと、まあハッキリ言えば“懐かしさ”である(笑)。トシを取ってくると、ときどき無性に昔の音源に接したくなることがあるのだ。イージーリスニングはリチャード・クレイダーマンのような70年代後半から出てきた演奏者もいるが、代表作の多くが60年代から70年代半ばにかけて吹き込まれている。つまり、私が子供の頃によく聴いていた音楽ばかりだ。



 このディスクには、正直あまり上出来ではないナンバーもけっこう含まれている。しかし、その“緩さ”が時代を感じさせて、またノスタルジックな気分にさせてくれる。もちろん、ポール・モーリアによるヒット曲などは、今聴いてもクォリティが高いと思う。特に「恋はみずいろ」や「蒼いノクターン」は旋律美が光る。録音が良かったというのも、意外な発見だった。

 個人的にウケたのは、ビリー・ヴォーン楽団による「真珠貝の歌」だ。言うまでもなくこの曲は、昔NHK−FMで日曜日の夕方にオンエアされていた「リクエストコーナー」のテーマ音楽である。あの番組で知ったミュージシャン達を次々と思い浮かべることが出来て、甘酸っぱい気分になった(とはいえ、スウィートなテーマ音楽とは裏腹に、結構トンがった選曲をしていた番組でもあったのだが ^^;)。

 昔は、こういうインストゥルメンタルのナンバーがヒットチャートを賑わせていたというのだから驚く。ヒット曲の多様性は、今とは比べものにならないくらい大きかったようだ。

 そういえば実家には、このセットには収録されていないイージーリスニング界の大物であるフランク・プゥルセルのシングル盤「アドロ」がある。このレコードもかなりヒットしたらしく、また音質も良い。こういうナンバーが見直されるような音楽市場の環境は、もう二度と現出しないのであろうか。



 チョン・キョンファは間違いなく女流ヴァイオリニストとしては世界有数の実力者だが、彼女が81年に吹き込んだチャイコフスキーとメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲のディスクが、廉価版として再発されたので買ってみた。オーケストラはモントリオール響で指揮はシャルル・デュトワである。

 長らくカタログから消えていたのが不思議に感じるほど、素晴らしい内容だ。特にチャイコフスキーはこの曲の代表的名盤の一つとしての地位を確立するだろう。キレの良い鋭角的な表現を披露する一方、何ともロマンティックな節回しをも併せ持ち、音楽の底の底まで掘り起こすような、スケールの大きさを見せつける。

 メンデルスゾーンも良い演奏だが、この曲は超ポピュラーであるだけに名盤が数多くある。それらに比べて殊更勝っているとは思わない。しかし、前述のチャイコフスキーとのカップリングならば、絶対のお買い得盤だ。録音もA級で、オーディオシステムのチェックにも使える。

 それにしても、80年代にDECCAレーベルに吹き込まれたデュトワ&モントリオール響の演奏は、何とまあ粒ぞろいであったことか。このほかにも何枚か持っているのだが、まったくハズレがない。ヘタな最新録音盤を選ぶよりも、(曲によっては)この頃の彼らの仕事ぶりをチェックする方が、上質な音楽鑑賞の時間を作ることが出来ると思う。

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