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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー」

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 (原題:Captain America:The Winter Soldier)お手軽なヒーロー物だと思ったら大間違いだ。重量級の娯楽編で、鑑賞後の満足感はとても大きい。荒唐無稽とも思える主人公像に真面目に向き合い、それを活かすストーリーを最大限に展開させており、まったく手抜きの無い製作スタンスには大いに感心した。

 アベンジャーズの一員として世界を救った後も、キャプテン・アメリカことスティーヴ・ロジャースは米国の諜報機関S.H.I.E.L.D(シールド)で世界平和のために各ミッションをこなしていた。ところがブラック・ウィドウらと共に、テロリストにジャックされた艦船の奪還作戦に従事した後から、何やら組織内の様子がおかしくなる。

 シールド長官のニック・フューリーが何者かによって襲われ、キャプテン自身もシールドのエージェント達からの攻撃を受ける。実はシールド設立当初から内部に潜伏していた“ある勢力”が動きを表面化させ、世界征服に乗り出したのだ。四面楚歌に陥ったキャプテンとわずかな仲間は、必死の反撃を試みる。

 シールドの中に潜んでいた“ある勢力”とは、第二次大戦の亡霊のような存在だ。だからといって“前時代的だ”と片付けられるものではなく、少しでも“憂国派”みたいなスタンスに共鳴した者ならば、現時点でもそのテーゼに簡単に絡め取られてしまう。危険分子を出現の可能性の段階で潰してしまうことが出来るのならば、より良い世の中になっていくのではないか・・・・などというシンプルすぎる方法論を疑問も持たずに信じ込んでしまう手合いは、今も昔も多数存在すると思う。

 そもそもキャプテン自身が第二次大戦の生き残りみたいな存在であり、今回のバトルは主人公にとって過去における自身の“状況”と相対することにもなる。しかも敵のコマンドーはかつての“同僚”だ。ひょっとしたら互いの立場が入れ替わっていたかもしれない二人の対決は、痛切でもある。

 そして、現代における正義とは何なのか、平和を守るとはどういうことなのか、そういうテーマに衒いも無く真正面からぶつかっていく作り手達の志の高さは評価したい。

 アンソニー&ジョー・ルッソ兄弟による演出はテンポが良く、アクション場面はかなり練られていて、安っぽい部分など微塵も無い。大金を掛けたクライマックスのカタストロフ場面も凄いが、中盤のフューリー長官が襲撃されるシーンは緊迫感が溢れ、手に汗握らされる。

 主演のクリス・エヴァンスはアクがなさ過ぎるが(笑)、清廉潔白なヒーロー役にはうってつけだ。ブラック・ウィドウに扮するスカーレット・ヨハンソンは少し老けたが(こらこら ^^;)、存在感はかなりのもの。長官を演じるサミュエル・L・ジャクソンも無手勝流を発揮している。そして何より、珍しく悪の側に回ったロバート・レッドフォードが儲け役。この超ベテランも演技の幅が広がったようだ。ファルコン(アンソニー・マッキー)やエージェント13(エミリー・ヴァンキャンプ)といった新キャラクターも加わり、アベンジャーズ一派はますます好調。次回作も期待したい。

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