足掛け7年間使い続けたアンプ、SOULNOTEのsa1.0を買い替えた。sa1.0の音色に特別不満があったわけではない。しかし、10W×2(8Ω)という低出力では2013年に新たに導入したスピーカーであるKEFのLS50を十分には鳴らせなかったのも確かだ。
LS50は決して能率(アンプの出力に対して得られるスピーカー音圧の割合)が高いモデルではない。この前に使っていたB&Wの685よりも出力音圧レベルが低く、鳴らし始めた際には音圧の低下に面食らったものだ。それでもポピュラー系の音源ならば何とか我慢出来たのだが、ダイナミックレンジが大きいクラシック系のソースだと、途端に苦しくなる。ディスクによっては弱音部でヴォリュームをかなり上げないと聴き取れないこともあり、精神衛生上良くない(笑)。
だから、標準的な出力を持つアンプへの更改を考えるようになったのだが、今回消費税率アップという絶好の(?)買い替えのタイミングを迎え、2014年3月末ギリギリに注文し、入手した次第である。
新しいアンプは、同じSOULNOTE製品のsa3.0である。定格出力は75W×2(8Ω)と申し分ない。さっそく音を出してみると、やはり同一メーカーのモデルだけあってsa1.0と音色傾向はほとんど変わらない。ただし質感は異なる。当然のことながら値段が高いだけあってsa3.0の方が上だ。
sa1.0は前に出る中域の鮮明さで音像の生々しさをアピールしていたが、sa3.0は聴感上の特定帯域の充実感を印象付けるのではなく、鮮明度の高さは全域に渡る。一音たりとも無駄にしないような、入力信号をありのまま出していこうという姿勢で、結果として音場はsa1.0よりも明らかに広くなっている。高出力の恩恵を最も受けているのが低域で、制動が効いて立ち上がりが速くなった。全体的にほぼ予想通りのグレードアップ効果がみられ、満足できる買い物だったと言えるだろう。
もちろん購入にあたっては、他社同クラスの製品群と聴き比べている。ただしSOULNOTE製品は取り扱っているディーラーが限られているので、複数台を並べて一斉に聴くことは無理である。だから同じスピーカーを別々の店において各アンプで鳴らしての比較ということになったが、それでも各製品のキャラクターとクォリティは掴むことが出来た。
結論から先に言えば、sa3.0は10万円台のアンプの中では解像度・情報量においては(今のところ)トップである。この価格帯ではDENONのPMA−2000REやPIONEERのA−70、YAMAHAのA−S2000など評判の良い製品が各社からリリースされているが、音質重視という方向性だけで選べばsa3.0以外には考えられない。
しかし、sa3.0はすべてのユーザーにとっての(この価格帯での)ベストバイかというと、そうではない。アンプで“音を作っていこう”とするリスナー、つまりアンプの音調に濃い“味付け”を求めるユーザーには、この製品は合わない。たとえばMARANTZのアンプが好きな聴き手は、SOULNOTEのモデルは受け付けない可能性が高いだろう。音のクォリティだけではすべてを割り切れないのが、趣味のオーディオの面白いところだ。
さらに言えば、機能を絞ったsa3.0は使い勝手の面に関してもユーザーを選ぶかもしれない。それについては次のアーティクルで述べる。
(この項つづく)
LS50は決して能率(アンプの出力に対して得られるスピーカー音圧の割合)が高いモデルではない。この前に使っていたB&Wの685よりも出力音圧レベルが低く、鳴らし始めた際には音圧の低下に面食らったものだ。それでもポピュラー系の音源ならば何とか我慢出来たのだが、ダイナミックレンジが大きいクラシック系のソースだと、途端に苦しくなる。ディスクによっては弱音部でヴォリュームをかなり上げないと聴き取れないこともあり、精神衛生上良くない(笑)。
だから、標準的な出力を持つアンプへの更改を考えるようになったのだが、今回消費税率アップという絶好の(?)買い替えのタイミングを迎え、2014年3月末ギリギリに注文し、入手した次第である。
新しいアンプは、同じSOULNOTE製品のsa3.0である。定格出力は75W×2(8Ω)と申し分ない。さっそく音を出してみると、やはり同一メーカーのモデルだけあってsa1.0と音色傾向はほとんど変わらない。ただし質感は異なる。当然のことながら値段が高いだけあってsa3.0の方が上だ。
sa1.0は前に出る中域の鮮明さで音像の生々しさをアピールしていたが、sa3.0は聴感上の特定帯域の充実感を印象付けるのではなく、鮮明度の高さは全域に渡る。一音たりとも無駄にしないような、入力信号をありのまま出していこうという姿勢で、結果として音場はsa1.0よりも明らかに広くなっている。高出力の恩恵を最も受けているのが低域で、制動が効いて立ち上がりが速くなった。全体的にほぼ予想通りのグレードアップ効果がみられ、満足できる買い物だったと言えるだろう。
もちろん購入にあたっては、他社同クラスの製品群と聴き比べている。ただしSOULNOTE製品は取り扱っているディーラーが限られているので、複数台を並べて一斉に聴くことは無理である。だから同じスピーカーを別々の店において各アンプで鳴らしての比較ということになったが、それでも各製品のキャラクターとクォリティは掴むことが出来た。
結論から先に言えば、sa3.0は10万円台のアンプの中では解像度・情報量においては(今のところ)トップである。この価格帯ではDENONのPMA−2000REやPIONEERのA−70、YAMAHAのA−S2000など評判の良い製品が各社からリリースされているが、音質重視という方向性だけで選べばsa3.0以外には考えられない。
しかし、sa3.0はすべてのユーザーにとっての(この価格帯での)ベストバイかというと、そうではない。アンプで“音を作っていこう”とするリスナー、つまりアンプの音調に濃い“味付け”を求めるユーザーには、この製品は合わない。たとえばMARANTZのアンプが好きな聴き手は、SOULNOTEのモデルは受け付けない可能性が高いだろう。音のクォリティだけではすべてを割り切れないのが、趣味のオーディオの面白いところだ。
さらに言えば、機能を絞ったsa3.0は使い勝手の面に関してもユーザーを選ぶかもしれない。それについては次のアーティクルで述べる。
(この項つづく)