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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」

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 2023年作品。前作(2021年)は観たものの、この続編は個人的鑑賞予定リスト(?)に入っていなかった。しかし、主演の一人である高石あかりがNHK朝ドラの2025年度後期番組の主役にオーディションで選ばれたとのことで、もう一度彼女のことをチェックしようと思った次第。映画の出来には大して期待はしていなかったが、最後まで退屈しないだけのヴォルテージはキープしている。まあ観ても損はしないだろう。

 杉本ちさとと深川まひろの若い女子殺し屋コンビは、ルーズな性格がわざわいしてジムの会費や保険料を滞納し、さらに立ち寄った銀行で押し入った強盗相手に勝手に大立ち回りをやらかしてしまい、殺し屋協会から謹慎を言い渡される。一方、しがない殺し屋アルバイトの神村ゆうりとまことの兄弟は、ちさととまひろを始末すれば代わりに“正社員”に昇格できるという噂を聞きつけ、実力行使に及ぼうとする。

 普通、アクション映画の続編は前作よりも金かけてスケールアップを図るとか、主人公の別の顔を見せるとか、取り敢えずは特色を出そうとするものだが、本シリーズに関しては全くそのような素振りを見せないところがある意味アッパレだ(笑)。脱力系のタッチは相変わらずで、特にちさととまひろが生活費を稼ぐため下町の商店街(ロケ地は墨田区のキラキラ橘商店街)で慣れないバイトに励むシークエンスはユルいギャグの連続だ。

 協会のスタッフたちの天然ぶりや、神村兄弟の間の抜けた会話など、緊張感ゼロのモチーフが次々と並べられる。通常こんな展開は低評価に繋がるものだが、このシリーズに限っては許せてしまう。ただし、クライマックスの決闘シーンは前作に比べてかなり作り込まれており、出演者たちの身体能力の高さも相まってけっこう盛り上がる。監督の阪元裕吾は、意外とドラマの緩急を心得ているのかもしれない。

 ちさとに扮する高石はルックスはイマイチだが、演技力と独特のキャラクターは申し分なく、これならば朝ドラのヒロイン役も務まるだろう。まひろ役の伊澤彩織をはじめ、水石亜飛夢に中井友望、安倍乙、渡辺哲、そして敵役の丞威と濱田龍臣など、皆良くやっていると思う。三作目の「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」も観るかもしれない。

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