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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「好きでも嫌いなあまのじゃく」

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 2024年5月よりNetflixから配信されたアニメーション映画。スタジオコロリドという製作スタジオは知らなかったが、過去にいくつか注目作をリリースしているらしいので、この新作を敢えてチェックしてみた。結果は芳しくない。話自体が面白くないし、映像も何やら既視感を喚起させる。致命的なのはキャラクターに魅力が無いこと。これでは評価出来ない。

 山形県に住む高校1年生の八ッ瀬柊は、大人しくて消極的な性格だ。他人との接し方がよく分からず、自分から何かやろうとしても上手くいかない。夏なのに雪が降ってきたある日、柊は鬼の少女ツムギと出会う。彼女は人間の世界に母親を捜しに来たというのだ。成り行きで柊は彼女を家に泊めることになったのだが、ユキノカミと呼ばれるクリーチャーの襲撃を受け、2人は鬼たちの住処である“隠の郷”との出入り口になっているという日枝神社へと逃避行を始める。

 柊が素性の知れない女の子を迎え入れるだけではなく、一緒に当て所もない旅に出るという設定からして無理っぽい。柊が両親に連絡して事情を知らせる素振りが無いのも、明らかにおかしい。道中で2人が出会う者たちは“都合良く”親切で、今後の行き方のヒントを与えてくれる。たどり着いた“隠の郷”は、どのような“構造”になっているのかハッキリしないし、肝心のツムギの母親の所在も、どうしてそこなのか納得出来る説明はない。

 鬼とユキノカミとの関係性も“分かる者だけ分かれば良い”というレベルで、まるで詳説されない。そもそも、真夏に雪が降ってくること自体が異常であり、この時点で世の中がひっくり返るほどの騒ぎになって当然ながら、皆さほど問題意識も持たず受け入れているのも噴飯物だ。

 柊は優柔不断なだけの男子であり、ツムギは跳ねっ返りで活発な女子に過ぎず、何ら映画的興趣を呼び込む深い性格付けはされていない。他の登場人物も同様で、目を引くような面子は見当たらない。ユキノカミの外観や“隠の郷”の風景は、どこかで見たような趣であり、活劇シーンは凡庸だ。

 監督の柴山智隆はスタジオジブリ出身で、過去に「千と千尋の神隠し」の製作に参加したらしいが、見た目に新鮮味が無いのはそれも関係しているのかもしれない。山形県を舞台にしていながら、それほどローカル色が出ていないのも失当としか思えず。とにかく、何のために撮ったのか判然としないシャシンである。

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