(原題:CONVOY)78年作品。日本公開は同年のサマーシーズンである。言うまでもなく、当時はジョージ・ルーカス監督の超話題作「スター・ウォーズ」が堂々の夏休み番組として拡大公開されていたはずだ。それに対抗するもう一本の大作映画ということで大々的にPRされていたらしいが、正直言って格が違いすぎると思う。夏興行を避けて秋頃あたりに公開していた方が、もっと人々の記憶に残ったのではないだろうか。
大型タンクローリーを駆るラバー・ダックは、とにかく警察との仲が悪い。その日もアリゾナ州の酒場で、トラック仲間と一緒に警官隊相手に大立ち回りをやらかしていた。警官たちをノックアウトして悠々と引き上げるラバー・ダックらを、トラッカーたちの積年の敵である鬼保安官ライルはしつこく追ってくる。CB無線によりラバー・ダックの武勇伝が広まると、参加者は増加。一大トラック軍団はニューメキシコ州に入るが、そこでは州知事や州軍なども出てきて騒ぎはますます大きくなる。
主人公が当局側と反目して騒乱を引き起こす理由が、イマイチ分からない。まあ、劇中ではトラック運転手の待遇が悪いとか、有色人種のドライバーは差別されているとか、そういう謳い文句は出てくるのだが、それが派手な破壊活動に繋がるとは思えない。
その頃はベトナムから米軍が撤退してからあまり時間が経っておらず、リベラルな雰囲気がアメリカ社会を覆っていたようなので斯様な建て付けも違和感は無かったのかもしれないが、今観ると主人公たちの底の浅さばかりが印象付けられる。監督はサム・ペキンパーだが、彼らしさが出ているのは酒場での乱闘場面ぐらいで、あとは凡庸な展開が続く。アクションシーンも全然大したことは無い。
ラバー・ダック役はクリス・クリストファーソンだが、どうも彼は俳優よりも歌手としてのイメージが強いので、本作ではサマになっているとは思えない。バート・ヤングをはじめとするトラック野郎に扮する面子もパッとせず、ヒロイン役のアリ・マッグローに至っては印象は限りなく薄い。結局、一番目立っていたのはライルを演じるアーネスト・ボーグナインだったりする。
脚本がB・W・L・ノートンという凡庸な人材を持ってきたのはよろしくないし、第二監督を俳優のジェームズ・コバーンが務めているのもどうかと思う。なお、この映画はC・W・マッコールにより75年に作られた同名のカントリー&ウエスタンのナンバーを元ネタにしているらしい。何やら大昔の“歌謡映画”を思わせる企画ではある。