(原題:20 Feet from Stardom)とても興味深いドキュメンタリー映画だった。大物ミュージシャンを支えるバックコーラス隊に所属する女性歌手達の生き方を通じ、人間の才能に対しての厳然たる視線と諦観とが表現される。確固たる普遍性に裏打ちされた訴求力の大きい作品だ。
ここで紹介されるのはダーレン・ラヴやメリー・クレイトン、ジュディス・ヒル、リサ・フィッシャーといった“バックコーラスとしての”実績を持ったシンガーである。とはいえ、実力自体はメインの歌手と変わらないか、あるいは凌駕している。
特にフィッシャーのパフォーマンスには圧倒された。聴いていて鳥肌が立つほどの声量と絶妙な表現力。柔らかさと力強さを兼ね備えた、素晴らしい逸材であることが如実に示される。しかし、彼女は一時はソロ・デビューしてある程度の成功を収めるものの、あとが続かなかった。今でもステージのセンターには立てないままだ。
それは他の“実力派バックシンガー”も同じで、劇中でブルース・スプリングスティーンが言う通り“たった数歩の距離なのに、ステージの真ん中に行くことは途轍もなく難しい”のである。事実、彼女達を見ていると、バックコーラスに甘んじているのも仕方が無いと思ってしまうのだ。
もちろんチャンスが巡ってこないとか、周囲に良き理解者がいないとか、そういう“運”に関わるものも少なくないのだが、それだけではない。本人達の資質というか、あえて言えば“何が何でもセンターの座を射止めたい!”という意志が不足しているのだ。じゃあ、意志が無いなら意志を持てば良いのではないか・・・・と外野が勝手に決め付けることは出来ない。メジャー指向を持つこと自体が、一種の“才能”なのだ。
“やれば出来るよ!”というのは、まあ誰に対しても激励の言葉にはなるが、実際には“出来るか出来ないか”よりも“やろうと思うか思わないか”の方が数段重要なのだ。そして“やろうと思うこと”は本当にハードルが高い。特に対象が困難な道である場合は、ほとんどの凡人は“やろう”などという気持ちも起こらない。本気で“やりたい”と強く思った時点で、目標の半分以上は達成出来ている。反面、バックコーラスに甘んじてしまえば“成功したい”というモチベーションも失うだろう。自分なりの新しい音楽を追求する機会も、手放してしまう。監督モーガン・ネヴィルの切り口は、なかなかシビアだ。
しかしながら、バックコーラスにこれほどの実力者が揃っているとは、アメリカのショービジネス界は何と奥が深いのだろうか。こういう“実力派バックシンガー”を集めてグループを結成し、何か新しい方法論を展開するプロデューサーが現れると、けっこう面白いのではと思ってしまった(笑)。
ここで紹介されるのはダーレン・ラヴやメリー・クレイトン、ジュディス・ヒル、リサ・フィッシャーといった“バックコーラスとしての”実績を持ったシンガーである。とはいえ、実力自体はメインの歌手と変わらないか、あるいは凌駕している。
特にフィッシャーのパフォーマンスには圧倒された。聴いていて鳥肌が立つほどの声量と絶妙な表現力。柔らかさと力強さを兼ね備えた、素晴らしい逸材であることが如実に示される。しかし、彼女は一時はソロ・デビューしてある程度の成功を収めるものの、あとが続かなかった。今でもステージのセンターには立てないままだ。
それは他の“実力派バックシンガー”も同じで、劇中でブルース・スプリングスティーンが言う通り“たった数歩の距離なのに、ステージの真ん中に行くことは途轍もなく難しい”のである。事実、彼女達を見ていると、バックコーラスに甘んじているのも仕方が無いと思ってしまうのだ。
もちろんチャンスが巡ってこないとか、周囲に良き理解者がいないとか、そういう“運”に関わるものも少なくないのだが、それだけではない。本人達の資質というか、あえて言えば“何が何でもセンターの座を射止めたい!”という意志が不足しているのだ。じゃあ、意志が無いなら意志を持てば良いのではないか・・・・と外野が勝手に決め付けることは出来ない。メジャー指向を持つこと自体が、一種の“才能”なのだ。
“やれば出来るよ!”というのは、まあ誰に対しても激励の言葉にはなるが、実際には“出来るか出来ないか”よりも“やろうと思うか思わないか”の方が数段重要なのだ。そして“やろうと思うこと”は本当にハードルが高い。特に対象が困難な道である場合は、ほとんどの凡人は“やろう”などという気持ちも起こらない。本気で“やりたい”と強く思った時点で、目標の半分以上は達成出来ている。反面、バックコーラスに甘んじてしまえば“成功したい”というモチベーションも失うだろう。自分なりの新しい音楽を追求する機会も、手放してしまう。監督モーガン・ネヴィルの切り口は、なかなかシビアだ。
しかしながら、バックコーラスにこれほどの実力者が揃っているとは、アメリカのショービジネス界は何と奥が深いのだろうか。こういう“実力派バックシンガー”を集めてグループを結成し、何か新しい方法論を展開するプロデューサーが現れると、けっこう面白いのではと思ってしまった(笑)。