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Channel: 元・副会長のCinema Days
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北九州市のオーディオフェアにて思ったこと。

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 去る12月6日から8日まで北九州市小倉北区で開催された、第27回オーディオ&ビジュアル展示即売会に足を運んでみた(とはいっても観ることが出来たのは1日のみだが ^^;)。今回から場所を去年までのKMMビルからAIMビル(アジア太平洋インポートマート)に移し、JR小倉駅から少し遠くはなったものの、試聴環境は大幅にアップした。また出展品目数も少し増えたように思える。

 目玉企画として評論家の傅信幸(ふう のぶゆき)による各社の最新ハイエンド機器の紹介が行われていたが、正直言って個々のレビューよりも、傅が思わず口にしたセリフの方が印象的であった。それは“自分ではとても買えないような高額商品の紹介をやってるというのも、何だかなぁ”というものだ(笑)。



 事実、このフェアに展示されているのは一般ピープルに全く縁のない高価なモデルが中心なのだ。もっとも“ハイエンド機をメインにしたイベント”という触れ込みだから値段の高い製品が並べられるのは当然なのだが、あまりにも高すぎないだろうか。

 たとえば、会場に置いてあったQUALIA社のINDIGOシリーズのアンプやORPHEUS社のCDプレーヤーなどは、それぞれのセット価格が1,200万円を超える。これらの機器を使用してシステム全体を組み上げると、おそらく総額4,000万円にも達するだろう。まさに常軌を逸した価格設定だ。

 もちろん、そのようなものを買えてしまうユーザーが世の中に存在していることは想像できる。ただ、その数は決して多くはない(当たり前だ)。ましてや九州みたいな地方ではあまりいないはず。こんな状況において主に超高価な機器ばかりを展示・デモする意義というのは、果たしてどの程度あるのだろうか。



 90年代前半ぐらいまでの認識では、ハイエンドのシステムというのは、せいぜい総額300万円か400万円程度ではなかったか。確かに庶民にとって縁遠い価格ではあったが、言ってみれば国産高級車と同程度の金額である。頑張って稼げば、あるいは退職金の一部を充てれば、決して手の届かないプライスではない。

 ところが、近年ハイエンドの機器の値段は天井知らずになった。今回のイベントにおいて所狭しと並べられているのは、システム全体で軽く1,000万円を突破するようなシロモノが多い。まさに無茶苦茶な高価格。こんなの、いったい誰が買うのか。

 もっとも“金に糸目を付けない各社の超高級システムを展示してどこが悪い!”と開き直られるのかもしれないが、そういうことは普段から“超ハイエンドではない普通のシステム”の積極的PRをした上で言って欲しい。オーディオ業界が長らく低迷しているのに市場を広げる努力をまったくせず、ごく一部の金持ち向けの超高額品を得々と披露してばかりいるその神経は、とてもマトモだとは言えない。

 この状況を見ていると、某カリスマ通販業者「ProCable」の主宰者の“ハイエンド(超高級)オーディオなんか、玉手箱の煙に過ぎない。人生が崩壊し、白髪の老人並みに落ちぶれてしまうのだ”というセリフが頭をよぎってしまう(笑)。とにかく(何度でも言っているけど)本当に必要なのは“ハイエンドフェア”ではなくて“ローエンドフェア”だろう。

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