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Channel: 元・副会長のCinema Days
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“ポタフェス2023”に行ってきた。

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 去る9月10日(日)、福岡市中央区天神のアクロス福岡にて開催された“ポータブルオーディオフェスティバル(通称:ポタフェス)2023福岡”に行ってみた。このイベントはDAPやスマートホン等に繋ぐ小型の音響デバイス、主にヘッドフォンとイヤホン類の展示会である。とはいえ、その日は別に用事があったので、会場にいたのは1時間あまりだ。しかも、各ブースは入場者でほぼ満席だったので試聴出来た機器はほんの数点である。それでも出品されているアイテムには印象的なものがあったので、いくつかリポートしたい。

 広島市にあるカイザーサウンド(有)が展開するRosenkranzブランドは個性的なスピーカーやアンプの送り手として知られているが、近年イヤホンもリリースするようになったことを今回の展示会で初めて知った。今回聴いたのはそのハイエンドモデルで、何と100万円だという。音質は確かに良く、欠点が見つからない。しかし、これが果たして100万円の価値があるのかどうかは(比べる物が無いという意味で)不明だ。次に聴いたのがこのモデルのノウハウを活かしてコストダウンしたという5万円のローエンド製品だが、これは優れものだと感じた。もちろん上級クラスほどの凄みは無いが、滑らかで端正な音を奏でてくれる。価格を考えればお買い得で、実際かなり売れているとのことだ。



 英国のROCK JAW AUDIO社が提供するワイヤレスイヤホンは、高度の電気伝導性を持つカーボンナノチューブを振動板に採用した意欲作だという。ただし、驚いたのはその音だ。実に柔らかくてノーブルな展開。刺激的な音を一切出さない。まさしくこれは、HARBETHSPENDORといったイギリスの老舗のスピーカーメーカーと同系統のサウンドである。まさかイヤホンにもそのテイストが反映されているとは思わなかった。オーディオ伝統国の奥は深い。

 高級ヘッドフォンをリリースするHIFIMANは米国に本拠を置くメーカーだが、発祥は中国らしく、どうやらCEOも中国系のようだ。だからというわけでもないだろうが、製品を実際聴いた感じは謳い文句のスタジオモニターライクというより、開放的で屈託無くストレスフリーで楽しませるタイプ。ただし、決して大味ではなく細部の表現力にも優れている。価格は20万円台後半と強気だが、それだけの価値はあると思う。



 我が国のハイエンド型ヘッドフォンの作り手として昔から知られるSTAXも製品を展示していた。お馴染みの静電型イヤースピーカーとヘッドフォンアンプとのペアで、自然な音場とキメ細かい音像表現を実現。価格はかなり高いが、さすが“クラシックを聴けるヘッドフォン”として1960年代から長い間ビジネスを展開していただけのことはある。今後とも末永く製造を続けて欲しい。

 前回福岡でこのイベントが開催されたのは2019年だが、今回も入場客は若年層(女子も含む)が中心。しかし、私のようなオッサンも散見される(笑)。デカいシステムで音楽を聴くことの困難性に今さらながら年配層も直面し始めたのか、あるいはポータブルオーディオの分野が質量共に充実していることに気付いたのか、実相は明らかではない。しかし、幅広いユーザーにアピールしていること自体は好ましい。また当地で開催された際には、足を運ぶつもりである。

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