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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「スラップ・ショット」

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 (原題:Slap Shot )77年作品。「明日に向って撃て!」(69年)などの秀作をモノにしてアメリカン・ニューシネマの旗手とも言われたジョージ・ロイ・ヒル監督にも、こういうレイド・バックしすぎたようなお手軽な作品があったのだ。マジメに対峙するとバカを見るが(笑)、“しょうがねえなァ”と内心ツッコミを入れながら気楽に接すれば腹も立たない。それどころか「華麗なるヒコーキ野郎」(75年)の後に斯様なシャシンを平然と撮る作者の豪胆ぶりに感服してしまう。

 ボストンを本拠地とするチャールズタウン・チーフスは、北米プロアイスホッケー傘下のマイナーリーグに属しているが、万年下位のお荷物チームだ。選手兼任監督のレジをはじめ、メンバーは覇気のない連中ばかり。新たに加入したハンセン3兄弟も、人前には出せないヤバいキャラクターの持ち主。ところがある試合で欠員の補充のためやむなく彼らを出場させたところ、想像を絶するラフプレイを披露して観客からは大喝采を浴びる。これに味をしめたレジは、バイオレンス路線で話題を作ろうとする。その試みは成功し、客の入りも成績も急上昇。ついにはリーグ優勝決定戦に駒を進める。



 落ちこぼれどもが奮起して大舞台で活躍するという、いわゆるスポ根映画のルーティンはあえて採用していない。チーフスは徹頭徹尾ダメなチームだし、終盤ぐらいは正攻法で盛り上がるのかと思ったら、期待を明後日の方向で裏切ってくれる。選手はお下品な連中ばかりで、繰り出すギャグも下ネタ中心。ほぼ“掃き溜めに鶴”状態の有名大卒のインテリであるネッドも、クライマックスではチーフスの一員らしい所業に及ぶ。

 これほどまでスポ根にケツを向けた映画も珍しいのだが、ジョージ・ロイ・ヒルの演出はリラックスして与太話の披露に専念しており、あまり腹も立たない。また、チームのオーナーが遣り手の女性という設定は「メジャーリーグ」(89年)を思い出すが、こっちが“元祖”だろう。主役のポール・ニューマンはこういうタイプの映画には不似合いかと思わせるが、監督との付き合いもあるし、何より楽しそうに演じているのが良い。

 ネッドに扮したマイケル・オントキーンをはじめ、ストローザー・マーティン、ジェリー・ハウザー、ジェニファー・ウォーレン、リンゼイ・クローズ、メリンダ・ディロンなどの面子も好調。エルマー・バーンスタインの音楽と、フリートウッド・マックやレオ・セイヤー等の既成曲の使い方も堂に入っている。

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