(原題:The sheltering sky)90年作品。好評を得た「ラストエンペラー」(87年)のスタッフが再結集したということで、公開当時はテレビのゴールデンタイムに宣伝CMが流れるほど興行側は力を入れていたのだが、現在ではこの映画のことを覚えている人はあまりいないだろう。それだけ本作の印象は薄い。
1947年、結婚から10年経った節目としてニューヨークからモロッコに旅行に出かけたポートとキットのモレスビー夫妻だったが、すでに2人は倦怠期を迎えていた。遠出したら気分が変わるかと思っていたのだが、期待したほどでもない。それどころかキットは同行していた友人のタナーと懇ろな関係になり、ポートも現地の女性とよろしくやっているという有様。そんな折、ポートはパスポートを紛失した挙句に風土病に罹って体調を崩してしまう。アメリカ人作家ポール・ボウルズによるベストセラー小説の映画化だ。
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都会生活で夫との関係に行き詰ったインテリ婦人が気晴らしのためにアフリカまでやってきて、好き勝手に振る舞った末に何となく悟ったような境遇になったという、それだけの話だ。もちろん、すぐに底が割れるような筋書きでも上手く作ってあれば文句は無いのだが、どうにもパッとしない。
大御所ベルナルド・ベルトルッチの演出は平板で、ドラマティックに盛り上げられるようなモチーフもあえてパスしているように見える。一番気になったのが、彼の地に対する差別的とも思われる扱いだ。現地の住民の風体や振る舞いは、まるで未開人のそれである。ちなみに、この地域を描いた映画は他にも何本も接しているが、この作品のような突き放した描写は見られない。
そして驚いたのが、画面に何度も現れるハエの大群。実際もその通りなのかもしれないが、あまり愉快になれない。そういえば封切り当時に知り合いが“題名を「シェルタリング・フライ」に変更しろ!”と言っていたが、さもありなんという感じだ。
デブラ・ウィンガーをはじめジョン・マルコヴィッチ、キャンベル・スコット、ティモシー・スポールといったキャストは熱演だが、訴求力に欠ける内容なのでそれほど評価できず。坂本龍一の音楽は流麗ながら、聴きようによっては感傷的に過ぎるかもしれない。ただし、ヴィットリオ・ストラーロのカメラによる映像はすこぶる美しい。彼は本作でいくつかのアワードを手にしている。
1947年、結婚から10年経った節目としてニューヨークからモロッコに旅行に出かけたポートとキットのモレスビー夫妻だったが、すでに2人は倦怠期を迎えていた。遠出したら気分が変わるかと思っていたのだが、期待したほどでもない。それどころかキットは同行していた友人のタナーと懇ろな関係になり、ポートも現地の女性とよろしくやっているという有様。そんな折、ポートはパスポートを紛失した挙句に風土病に罹って体調を崩してしまう。アメリカ人作家ポール・ボウルズによるベストセラー小説の映画化だ。
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都会生活で夫との関係に行き詰ったインテリ婦人が気晴らしのためにアフリカまでやってきて、好き勝手に振る舞った末に何となく悟ったような境遇になったという、それだけの話だ。もちろん、すぐに底が割れるような筋書きでも上手く作ってあれば文句は無いのだが、どうにもパッとしない。
大御所ベルナルド・ベルトルッチの演出は平板で、ドラマティックに盛り上げられるようなモチーフもあえてパスしているように見える。一番気になったのが、彼の地に対する差別的とも思われる扱いだ。現地の住民の風体や振る舞いは、まるで未開人のそれである。ちなみに、この地域を描いた映画は他にも何本も接しているが、この作品のような突き放した描写は見られない。
そして驚いたのが、画面に何度も現れるハエの大群。実際もその通りなのかもしれないが、あまり愉快になれない。そういえば封切り当時に知り合いが“題名を「シェルタリング・フライ」に変更しろ!”と言っていたが、さもありなんという感じだ。
デブラ・ウィンガーをはじめジョン・マルコヴィッチ、キャンベル・スコット、ティモシー・スポールといったキャストは熱演だが、訴求力に欠ける内容なのでそれほど評価できず。坂本龍一の音楽は流麗ながら、聴きようによっては感傷的に過ぎるかもしれない。ただし、ヴィットリオ・ストラーロのカメラによる映像はすこぶる美しい。彼は本作でいくつかのアワードを手にしている。