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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「女子高生に殺されたい」

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 いかにもキワモノ臭いネタを扱った映画で、普通ならば敬遠するようなシャシンだが、そこは城定秀夫監督、見応えのあるサスペンス編に仕上げていた。さらには原作が快作「帝一の國」などの古屋兎丸なので、よく考えれば駄作にはなりそうもない陣容だ。上映館の数は少ないものの、もっと注目されて良い作品である。

 地方都市の高校に赴任してきた若手教師の東山春人は、その甘いマスクとマジメな仕事ぶりにより、瞬く間に生徒たちから絶大な人気を得る。ところが彼は、とある女生徒に殺されたいという特異な欲望を持っており、そのために彼女が在籍するこの学校に入り込んだのだ。しかも文化祭の当日に彼が理想とする手口で最期を迎えるべく、周到に準備を進める。しかし、春人の元恋人で臨床心理士の深川五月がスクールカウンセラーとして着任するに及び、彼の計画は揺らぎ始める。



 自分が殺されることに性的興奮を覚える精神疾患なんか有り得ないと思っていたら、このオートアサシノフィリアという嗜好は実在するらしい。それは別にしても、主人公の春人はこのテイストに現実感を持たせるに相応しいキャラクターだ。演じる田中圭はまさに絶好調で、困難にぶち当たっても計画を遂行させるべく身悶えして粉骨砕身する有様は、変態俳優として目覚ましい存在感を発揮している(注:これはホメているのだ ^^;)。

 くだんの女生徒が、春人を取り巻く女子の中の一体誰なのかというサスペンスは十分に盛り上げられており、彼女が殺意を露わにするシチュエーションの段取りも上手くいっている。城定秀夫の演出には弛緩した部分が感じられず、適度なケレンを織り交ぜつつ、飽きさせずにエンドマークまで観客を引っ張ってゆく。

 生徒に分するキャストの中では、何と言っても南沙良のパフォーマンスが光る。複雑なキャラクターだが、見事に役柄を自家薬籠中のものにしており、この年代の女優としては飛び抜けた実力の持ち主だ。茅島みずきに莉子、細田佳央太などの他の生徒役も悪くない。ただし、出番が多い河合優実の演技は硬くて感心しない。今後の精進に期待したい。五月に扮する大島優子は安定しており、すっかり手堅いバイプレーヤーとしての地位を手にしたようだ。また、世武裕子の音楽も効果的である。

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