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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「暴走機関車」

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 (原題:Runaway Train )85年作品。1966年に黒澤明が企画し、菊島隆三や小國英雄らと共に仕上げた脚本を元にしている。もっとも、出来上がった映画を観た黒澤は批判したらしいが、個人的には面白いと思う。全編に緊張感がみなぎり、思い切った展開に最後まで目が離せない。キャストの奮闘も特筆ものだ。

 重犯罪者ばかりを収容した真冬のアラスカの刑務所で所長のランキンと仲違いしているマニーが、やっと独房から出てくる。執拗に彼を狙うランキンは殺し屋を放って始末しようとするが、マニーはこのままでは消されると思い、脱獄を決心。若い囚人のバックの手助けで塀を乗り越えることに成功するが、バックも同行する。鉄道の操車場まで辿り着いた2人は、そこで巨大なディーゼル機関車を見つけて乗り込んだ。しかし、初老の機関士が心臓発作で車外に転落。機関車はそのまま暴走を始める。一方、ランキンはヘリコプターに乗って2人の行方を追っていた。



 刑務所内でのボクシングの迫力から、脱獄のサスペンス。機関士のいないままスピードを上げる機関車と、事故を防ごうとする鉄道会社の司令室。そして執念深いランキンとの追跡劇という三つ巴のモチーフが同時進行するあたり、パニック・サスペンス映画としては秀逸な体裁である。さらに、機関車内には偶然に女性乗務員サラも乗り込んでいた。

 バックとサラとの甘い関係と、マニーとランキンとの宿命のライバルの様相は、絶妙なコントラストを形成。指令室のマクドナルド局長の働きもキビキビと見せる。そして何より、主に走る機関車の中でストーリーが展開するため、作劇にスピード感がある。アンドレイ・コンチャロフスキーの演出はキレが良く、弛緩したところが見当たらない。アクションに次ぐアクションの末、待ち受ける無常的な幕切れには感心するしかない。

 アカデミー賞候補になったジョン・ヴォイトとエリック・ロバーツをはじめ、ジョン・P・ライアン、ケネス・マクミラン、そして紅一点のレベッカ・デモーネイ、いずれも的確な仕事ぶりだ。アラン・ヒュームのカメラによる凍てつくアラスカの風景、トレヴァー・ジョーンズの音楽も及第点。なお、黒澤は出演者にヘンリー・フォンダとピーター・フォークを想定していたらしいが、そちらも実現して欲しかった。

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