(原題:安娜瑪徳蓮娜 Anna Magdalena)98年作品。特に優れた映画でもないのだが、当時の有名若手俳優たちの共演と絵に描いたようなラブコメ展開に“まあ、これで良いんじゃないか”と許してしまうようなシャシンだ(笑)。また、香港のゴールデン・ハーヴェストと日本のアミューズとの合作で、その頃はそういうプロジェクトも可能であったことは、今思うと実に感慨深い。
内気で平凡なピアノの調律師のガーフは、友人で自称小説家のモッヤンのアパートの一室で共同生活を送っていた。ある日、ひとつ上の階にマンイーという若い女が越してくる。彼女が弾くピアノの音がうるさいのでモッヤンは苦情を言いに行くが、なぜか彼はいつの間にか姿を消してしまう。残されたガーフはマンイーと世間話をするうちに、いつしか彼女にゾッコンになる。だが、マンイーがこのアパートに越してきたのは、ある事情があったのだ。ピーター・チャン監督の「ラヴソング」(96年)のシナリオを手掛けた、アイヴィ・ホーによるオリジナル脚本作品だ。
映画の前半と後半では映画の雰囲気が違ったり、よく分からない劇中劇が挿入されたりと、作者はいろいろと変化球を投げてくるが、ラブコメの範囲を逸脱するものではない。それどころか、変則的なモチーフを取り入れることで恋愛劇としての魅力をアップさせようという意図が感じられる。また、主要キャラクター3人の立場がイーヴンであり、誰かが遅れを取って作劇のバランスを崩すようなことが無いのは認めて良い。
イー・チュンマンの演出は深みに欠ける代わりに、表面をサラリと流すようなフットワークの軽さがある。そして何といっても金城武にケリー・チャン、アーロン・クォックといった当時としてはトレンディ路線(?)に振ったキャスティングが見ものだ。この顔ぶれならば、多少くすぐったい筋書きでもあまり腹は立たない。さらに、レスリー・チャンやアニタ・ユン、エリック・ツァンらが友情出演しているのも嬉しい。題名はもちろんバッハの妻の名前が由来であり、劇中でバッハの楽曲が違和感なく流れているのも悪くない趣向だ。
内気で平凡なピアノの調律師のガーフは、友人で自称小説家のモッヤンのアパートの一室で共同生活を送っていた。ある日、ひとつ上の階にマンイーという若い女が越してくる。彼女が弾くピアノの音がうるさいのでモッヤンは苦情を言いに行くが、なぜか彼はいつの間にか姿を消してしまう。残されたガーフはマンイーと世間話をするうちに、いつしか彼女にゾッコンになる。だが、マンイーがこのアパートに越してきたのは、ある事情があったのだ。ピーター・チャン監督の「ラヴソング」(96年)のシナリオを手掛けた、アイヴィ・ホーによるオリジナル脚本作品だ。
映画の前半と後半では映画の雰囲気が違ったり、よく分からない劇中劇が挿入されたりと、作者はいろいろと変化球を投げてくるが、ラブコメの範囲を逸脱するものではない。それどころか、変則的なモチーフを取り入れることで恋愛劇としての魅力をアップさせようという意図が感じられる。また、主要キャラクター3人の立場がイーヴンであり、誰かが遅れを取って作劇のバランスを崩すようなことが無いのは認めて良い。
イー・チュンマンの演出は深みに欠ける代わりに、表面をサラリと流すようなフットワークの軽さがある。そして何といっても金城武にケリー・チャン、アーロン・クォックといった当時としてはトレンディ路線(?)に振ったキャスティングが見ものだ。この顔ぶれならば、多少くすぐったい筋書きでもあまり腹は立たない。さらに、レスリー・チャンやアニタ・ユン、エリック・ツァンらが友情出演しているのも嬉しい。題名はもちろんバッハの妻の名前が由来であり、劇中でバッハの楽曲が違和感なく流れているのも悪くない趣向だ。