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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「シューティング・フィッシュ」

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 (原題:SHOOTING FISH )97年作品。この頃のイギリス映画は、なぜかライトなコメディが目立っていたと思う。まあ、たまたまその手のシャシンが当時集中的に輸入されただけかもしれないし、ライトと言っても暗くシニカルな面も持ち合わせていたのだが、今から考えると一種の“ハヤリ”だったのかもしれない。この作品もそんな一本だ。

 ロンドンに住む孤児院育ちのディランとジェズは、バイト先で知り合い仲良くなる。2人は大邸宅を手に入れるという夢を持っており、そのため詐欺稼業に明け暮れ、やがて医学生のジョージーを仲間に引き入れる。彼女は障害を持つ弟のために好きでもない大金持ちとの結婚を控えていたが、障害者施設を閉鎖しようとしているのが当のフィアンセであったことを知り、婚約を破棄。ディランたちを巻き込んで反撃に出る。



 登場人物たちはいかにもイギリスらしく(?)屈折しており、他人を容易に信用せず斜に構えているような雰囲気だが、一度方向性が定まると脇目も振らずに突き進むあたりは好ましい。ステファン・シュワルツの演出は軽快で、コン・ゲームの仕掛けは他愛の無いものながら、ポップな語り口でスムーズに見せる。そしてラスト近くの“大逆転”には笑わせてもらった。

 音楽を担当したのはスタニスラス・サイレウィックだが、それよりも既成曲の使い方が秀逸。ザ・スーパーナチュラルズやシルヴァー・サン、ブルートーンズ、ディヴァイン・コメディといった、当時のイギリスの若手バンドのナンバーがズラリと並んでおり、それがまた映画のリズムと合っている。いわゆるブリットポップ・ムーブメントが終わりを告げたのがこの頃だということを考え合わせると、なかなか感慨深いものがある。

 主演のダン・フッターマンとスチュアート・タウンゼンドは絶好調。実を言えば2人ともイギリス人ではないのだが(笑)、作品のカラーに上手く溶け込んでいる。ヒロイン役のケイト・ベッキンセールは珍しくショーカットで、けっこう可愛く撮れていて好印象だ。

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