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Channel: 元・副会長のCinema Days
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金曜ロードショーの“復活”を評価する。

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 今年(2021年)4月より、日本テレビ系列で金曜日午後9時より放映されていたスペシャル番組枠の「金曜ロードSHOW!」が、映画専門番組の「金曜ロードショー」に改変になった。もっとも、この新タイトルは2012年まで同局のこの時間帯に放映されていたものと一緒であり、いわば“原点回帰”と言える。また、現在では地上波のゴールデンアワーで定期放送されている唯一の映画番組になる。

 ネット配信のサブスクリプションサービスが全盛になった今、あえてオールドスタイルな形式でのオンエアに踏み切った理由として、局側では“過去の名作群の掘り起こしや、大勢の人が同じ時間に同じ作品を見ているというリアルタイムな体験を提供すること”と述べているが、これは実に正しい。サブスクリプションサービスではチェックする対象範囲が限られてしまい、未知のジャンルに触れることが少なくなる。対して、バラエティに富んだ作品を地上波で放映すれば、それだけ視聴者の知見が増える。



 思い起こせば、この地上波における映画番組というのは、私も随分とお世話になったものだ。金曜ロードショーの前身だった水曜ロードショーをはじめ、日曜洋画劇場、月曜ロードショー、ゴールデン洋画劇場と、民放だけで週4本もの2時間の枠が設定されていた。また、それぞれ個性豊かな解説者を配して作品紹介をおこなっていたのも、視聴者にとって有難かった。

 一般的には日曜洋画劇場の淀川長治が有名だったが、個人的には月曜ロードショー(TBS系)の荻昌弘が印象的だった。おそらくは、作品選定に彼の意向が反映されていたはずで、今ならば絶対にゴールデンタイムに流せないようなマニア向けの映画が堂々と放映されていたものだ。この番組で、私は子供の頃に生意気にもフェデリコ・フェリーニやジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、ルイス・ブニュエルといった監督の名を知った。

 そして、面白い映画が放映されると、翌日に学校でそれが話題になるのも楽しかった。何しろ、ビデオはあまり普及していなかった時分だ。この体験の共有化というのが地上波における映画放映の醍醐味である。時に作品のカラーに合わない吹き替えが施されたり、放送時間の関係でカットされる場合も多々あったが、それでも映画がテレビ画面で見られるというのは堪えられなかった。

 ともあれ、金曜ロードショーの“復活”は素直に喜びたいし、スタッフも頑張ってほしい。お笑い芸人をひな壇に並ばせてのバラエティやグルメ番組は、そろそろ視聴者は飽きが来ている。そんなのよりも映画を一本流してくれた方がよっぽど良い。願わくば、他局も追随してもらいたいものだ。

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