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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ゴースト ニューヨークの幻」

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 (原題:Ghost)90年作品。誰でも知っているラヴ・ストーリー映画の代表作で、公開当時は土曜日曜は満員。平日でも6時からの上映は立見も出る有様だった。私は当時ウィークデイの朝一回目を観たのだが、3分の2以上の入りで驚いたことを覚えている。なお、このヒットのおかげでその年の正月映画のひとつ「ゴッドファーザーPART3」の公開が翌年2月に延びたらしい。

 筋書きはあまりにも有名なのでここでは繰り返さない。この頃は清純派のテイストも兼ね備えていた(笑)デミ・ムーアと、今は亡き好漢パトリック・スウェイジのナイーヴな演技が光った。だが、それよりも楽しかったのは、インチキ霊媒師を演ずるウーピー・ゴールドバーグで、実に表情豊かな演技で笑わせてくれる。

 SFXが効果的である。特に、人の身体や物体を主人公がすり抜けるシーンは、「ミクロの決死圏」などを思い出すような凝った絵作り。加えて、そのとき主人公が一瞬感じる衝撃感(といっていいのだろうか)がこちらに伝わってきて、秀逸。ラストの「未知との遭遇」みたいなあの世の描写。悪いことをした人間が死ぬと、魂を地獄へと連れ去って行く死神のイメージ、などなど、妙に納得させられる場面が多い。

 監督はジェリー・ザッカー。「フライング・ハイ」や「トップ・シークレット!」などの悪ふざけお笑い映画ばかり手掛けてきた人物だが、このようなキメの細かいドラマをも演出できるとは思わなかった。

 この作品といい、スピルバーグの「オールウェイズ」とか「フィールド・オブ・ドリームス」とか、邦画では相米慎二監督の「東京上空いらっしゃいませ」や大林宣彦監督の「ふたり」など、当時は幽霊の登場する映画(ホラーを除く)の公開が重なっていた。ひょっとしたら、作り手が恋愛映画やヒューマンドラマのバリエーションを探っていくうちに、相手を殺してしまわないとハナシが成立しないという次元にまで到達していたのかもしれない(爆)。

 音楽はモーリス・ジャールで、なかなかいいスコアを書いているが、印象的なのはもちろんライチャス・ブラザーズ歌うところの「アンチェイン・メロディ」だ。「オールウェイズ」における「煙が目にしみる」と同じような大きな効果をもたらしている。

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