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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「冒険者たち」

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 (原題:Les Aventuriers )67年フランス作品。私が子供の頃にテレビの洋画劇場で見た記憶があるが、東宝系劇場で開催されている“午前十時の映画祭”において、今回初めてスクリーン上で接することが出来た。ジョゼ・ジョヴァンニの同名小説をロベール・アンリコが監督したもので、青春映画の秀作として根強い人気を持つ作品である。

 自動車エンジンの開発に没頭するローランと、無鉄砲なパイロットのマヌーは親友同士。そんな二人の前に、前衛女流彫刻家レティシアが現れる。三人は互いの夢を語り合い意気投合するが、やがてローランの仕事は行き詰まり、マヌーは詐欺に引っ掛かり飛行ライセンスを取り上げられてしまう。レティシアも全力を投入した個展が酷評され、三人揃って窮地に陥る。

 そんな中、かつてマヌーをペテンにかけた男から、コンゴ動乱の際に国外脱出を図って墜落した小型機が莫大な財宝を積んだまま沈んでいるという話を聞きつける。三人は逆境を脱するためにその話に乗るのだが、一方で財宝を横取りしようとするギャング共も暗躍していてた。

 一応は活劇の体裁を取っているのだが、それらしいキレ味を期待すると裏切られる。主人公達三人のプロフィール設定は甘いし、舞台がアフリカに移るくだりは漫然としているし、そもそもアクション場面もテンポが悪い。しかし、得難い魅力がこの作品にはある。それは、はかない夢とは知りつつもそれを追いかけずにはいられない、そんな青春時代のほろ苦さを切々と語りかけているからだ。

 もちろん、そんな“姿勢”だけでは良い映画になるはずもないが、本作にはそれを納得させるだけの御膳立てが整えられている。それはまず、キャスティングの素晴らしさを挙げねばならないだろう。ローランを演じるリノ・ヴァンチュラ、マヌーに扮するアラン・ドロン、ともに前向きなキャラクターでありながら、どこか捨て鉢な雰囲気を漂わせるところが絶品だ。

 ヴァンチュラは青年と言うには若くなく、無茶ができる時間は限られている。またドロンは、当時アメリカ進出が不調で失意の中フランスに舞い戻ってきたという事情も大きく影響しているのかもしれない。そしてレティシア役のジョアンナ・シムカスはただただ魅力的だ。まるで“この女のためならば全てを捨てて良い”と思わせるほどに。

 ジャン・ボフティのカメラによる清涼な映像と、映画音楽史上に残るフランソワ・ド・ルーベの名スコアが、作品の格調を押し上げている。クライマックスのバトルシーンの舞台になるボイヤール要塞島の存在感は、主人公達の見果てぬ想いを象徴していて圧巻だ。

 余談だが、観ている間に“ああ、テレビ放映ではこの部分でCMが入ったのだな”とか“オンエア時にカットされたのは、このパートだな”とかいう突っ込みを勝手に入れていた(笑)。テレビ画面で見たのは随分前なのに、やはり要所は覚えているものなのだ。

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