この作品の唯一最大の欠点は、主演女優のキャスティングだ。真木よう子は救いようが無いほど大根である。セリフは棒読み。表情が乏しい。身体のキレも悪い。ついでに言えば、肌が汚い。取り柄はオッパイが大きいことだけ(爆)。
どうして彼女のような実力も才能も無く、(バストを除いた)ルックスも見栄えしない俳優が、スクリーンの真ん中でデカい面をしていられるのかと、困惑すること小一時間という感じだ。おまけにエンドクレジットでは下手な歌まで披露しており、マジで“何とかして欲しい”と思ったものだ。
渓谷に近い山間の街で幼児殺害事件が発生する。その容疑者として、被害児童の母親が逮捕されるが、隣に住む尾崎が事件に関与しているのではないかという疑いが浮上。その妻・かなこと共に警察とマスコミにマークされることになるが、実はこの二人には意外な過去があった。
吉田修一の同名小説の映画化で、監督は大森立嗣。いかにもこの演出家らしい、的確なプロットの積み上げときめ細かなディテールの配備が印象的だ。尾崎は大学時代に野球部に所属し、将来を嘱望された実力の持ち主であったが、一時の気の迷いで引き起こしてしまったレイプ事件で、すべてを棒に振ってしまう。事件を追う雑誌記者も、昔は実業団で活躍したラグビー選手だったが、ケガのために引退とリストラに追いやられてしまう。妻との仲も最悪だ。
共に鬱屈した日々を送る二組の夫婦を対比させることにより、人間関係の玄妙さを浮き彫りにしようという構成は悪くない。映像の切り取り方、演出のリズム、共に及第点だ。
監督の実弟でもある記者役の大森南朋は好演で、ヒリヒリするようなコンプレックスをさらけ出している点は出色である。妻に扮する鶴田真由の、行き場の無い欲求不満ぶりも見事。若手記者役の鈴木杏や、井浦新、新井浩文といった脇の面子も申し分ない。だが、肝心の主役が“あの体たらく”では、映画が輝きを持つには至らない。
実を言えば、尾崎役の大西信満の仕事ぶりも大したことはなく、可も無く不可も無い“普通の演技”である。しかし、超大根の真木と並ぶと“けっこう上手い演技”に見えてしまうのが悲しい(笑)。
幸か不幸か、この映画は先のモスクワ国際映画祭で特別賞に輝いている。困ったことに主演の真木は“一生、女優を辞めたくない”との決意を新たにしたらしい(呆)。それにしても、この真木をはじめ30歳代の女優には、(一部を除いて)ロクな人材がいない。20歳代にはあれだけ逸材が揃っているのに、この格差はいったい何なのだと思ってしまった。