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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」

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 (原題:T-34)突っ込みどころはけっこうあるが、それを忘れてしまうほどの面白さ。戦車が“主役”になった戦争アクション物の代表作として、映画ファンの記憶に残るのではないだろうか。少なくとも、アメリカ映画「フューリー」(2014年)なんかより、はるかにヴォルテージが高い。

 第二次大戦における東部戦線。対ソ戦を開始したドイツ軍を食い止めるべく、新米士官イヴシュキンは初めて前線に出るが、敗れて捕虜となってしまう。数年後、イヴシュキンと戦ったイェーガー大佐は、収容所で行われている戦車戦演習のため、戦地で確保したソ連軍の戦車T-34の操縦をイヴシュキンとその仲間に命じる。しかし、そのT-34は実弾を装備しておらず、演習では敵の攻撃から逃げることしかできない。助かることが不可能に近い状況の中で、イヴシュキン達は通訳をしていたアーニャの協力を得て、演習中での脱出計画を立てる。

 ドイツ軍が収奪したT-34には、乗員の遺体と共に砲弾が放置されていたというモチーフは、まさに噴飯ものだ。イェーガー大佐はイヴシュキンが脱走することを予想していて収容所の周囲に地雷を多数設置するが、それがストーリーに絡んでくることは無い。またアーニャは容易く所長の執務室に忍び込んで地図を盗み、危険であるはずの演習当日は外出許可さえ与えられるというのは、明らかにおかしい。斯様に筋書きには随分と無理があるのだが、いざ戦闘シーンに突入すると、そんなことはどうでも良くなってくる。

 序盤の平原での戦いは迫力満点だが、どこか既視感を覚える。同じようなシチュエーションの映画は過去にもあった。しかし、後半の市街戦には度肝を抜かれる。道幅の狭い街中で、どうやって複数の敵戦車を駆逐するのか。その方法論は理詰めでありながら、実際は想定外の事態にも遭遇。あの手この手を使って危機を突破する主人公達の奮闘には、思わず手に汗を握ってしまう。イェーガー大佐との対決なんかまるで西部劇の世界で、苦笑しながらも大いに感心した。

 特殊効果が上手くいっており、特に砲弾の軌跡の描写はケレン味たっぷりながら観ていて盛り上がる。またT-34の本物の車体を使用し、ドイツ軍の戦車もリアリティのある造型が施されているのも嬉しい。アレクセイ・シドロフの演出は幾分泥臭いがパワフルで、最後まで飽きさせない。

 アレクサンドル・ペトロフにユーリイ・ボリソフ、ビクトル・ドブロヌラボフといったロシアの俳優陣は馴染みが無いが、皆良い面構えをしている。イェーガー大佐を演じるビツェンツ・キーファーは憎々しくて存在感があり、アーニャに扮するイリーナ・ストラシェンバウムの美貌も印象的。アクション映画好きならば要チェックだ。

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