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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「ブラザー・フロム・アナザー・プラネット」

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 (原題:The Brother From Another Planet )84年作品。いかにも低予算映画らしい安上がりのエクステリアだが、作品自体はとても愛嬌があり、鑑賞後の満足度は高い。これはひとえに、作者の人間に対する視点が温かくポジティヴであることに尽きる。また、大仰な展開を排してささやかなエピソードを積み上げている点も、身の丈に合った理性的なスタンスを感じさせる。

 ニューヨークのエリス島に、黒人の異星人が漂着する。ハーレムの125番街に迷い込んだ彼は、風変わりな人物と見なされるが、やがて“ブラザー”と呼ばれるようになり、地域に受け容れられる。彼はしゃべれないが、手のひらを当てるだけで傷を治したり、機械を修理することができた。修理工として働き始めた彼を、怪しい2人組の白人が付け狙うようになる。彼らもエイリアンで、逃亡奴隷だった黒人の宇宙人を捕まえに来たのだ。“ブラザー”は2人組から身を隠しつつ、町を牛耳る麻薬シンジケートと対立するようになる。



 エリス島はかつての移民の窓口であり、“ブラザー”の行動はキリストを思わせる。黒人の宇宙人とハーレムという、組み合わせのアイデアも秀逸だ。また、周りのキャラクターの造型が巧みだ。いつも酒場にたむろしている連中をはじめ、主人公の世話をする女たちや、ハーレムにやってきた白人のおのぼりさん等、皆イイ味を出していてワザとらしさは無い。

 どうして主人公を取り巻く人々が好人物ばかりなのかというと、ラストのオチで明らかになるのだが、それが示されたことで町の雰囲気に違和感が漂うこともなく、なるほどハーレムとはこういう町である(あるいは、そうあって欲しい)という作者の思い入れが感じられた。

 監督のジョン・セイルズはジム・ジャームッシュらと同じく、アメリカのインディペンデント系の作家であり、彼はこの後も各方面で才能を発揮することになる。主演のジョー・モートンをはじめダリル・エドワーズ、スティーヴ・ジェームズなど、キャスティングに派手さは無いが、皆好演だ。

 特筆すべきは、主人公と恋仲になるクラブ歌手に扮していたのが大物ジャズシンガーのディー・ディー・ブリッジウォーターであること。作者の意外な人脈が垣間見えると共に、本作における音楽のセンスの良さも印象付けられる。

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