(原題:Hamburger Hill)87年作品。ヴェトナム戦争を扱った映画だが、同年作られた「プラトーン」や「フルメタル・ジャケット」等に比べると地味な印象を受ける。しかしながら、ドラマ的要素を抑えてドキュメンタリー・タッチの方向に振っている分、リアリティはあると思う。無視出来ない作品だ。
1969年、南ヴェトナムに展開していたアメリカ軍第101空挺師団の第3分隊に、新たな命令が下される。アシャウ渓谷にある丘、通称“937高地”にある北ヴェトナム軍の要塞を掃討せよというのが、その内容だ。隊長のフランツの元に配属されたのは、いずれも二十歳そこそこの若者ばかりだ。
フランツは何とか彼らに北ヴェトナム兵の強さと恐ろしさを吹き込もうとするが、やがて直面する現実は想像を絶していた。10日間にわたる戦闘により、若いアメリカ兵は次々と命を落としてゆく。多大な犠牲者を出したアパッチ・スノー作戦を描いた作品で、タイトルの意味は、兵士たちが容赦なく“ミンチ状態”にされていく激烈な戦況に由来している。
この戦争には大義があったはずだが、現場レベルではとうの昔に忘れ去られ、戦闘のための戦闘が日々繰り返されるだけの虚無的な雰囲気が横溢している。フランツの部下は数多いが、いずれもキャラクターはクローズアップされていない。いつもはくだらない冗談を言い合うが、いざ戦地に出ると絶望的な状況に慄然とするという、ステレオタイプの兵士像が提示されるだけだ。
しかし、この場合はそれで正解だろう。ワン・オブ・ゼムとしての兵隊はその程度の扱いしか受けていない。皆“平等に”辛酸を嘗めるだけだ。終盤、生き残ったことが奇跡であるようなわずかな兵隊たちが目にする“ウェルカム・トゥ・ハンバーガー・ヒル”という立て札が、無常観を醸し出す。
ジョン・アーヴィンの演出はケレン味は無いものの、堅実な仕事ぶりだ。隊長役のディラン・マクダーモットをはじめ、アンソニー・バリル、マイケル・ドーランといった顔ぶれは決して派手ではないが、役柄に良くマッチしている。若い頃のドン・チードルが出ているのも要チェックだ。音楽はフィリップ・グラスで、さすがのスコアを提供している。
1969年、南ヴェトナムに展開していたアメリカ軍第101空挺師団の第3分隊に、新たな命令が下される。アシャウ渓谷にある丘、通称“937高地”にある北ヴェトナム軍の要塞を掃討せよというのが、その内容だ。隊長のフランツの元に配属されたのは、いずれも二十歳そこそこの若者ばかりだ。
フランツは何とか彼らに北ヴェトナム兵の強さと恐ろしさを吹き込もうとするが、やがて直面する現実は想像を絶していた。10日間にわたる戦闘により、若いアメリカ兵は次々と命を落としてゆく。多大な犠牲者を出したアパッチ・スノー作戦を描いた作品で、タイトルの意味は、兵士たちが容赦なく“ミンチ状態”にされていく激烈な戦況に由来している。
この戦争には大義があったはずだが、現場レベルではとうの昔に忘れ去られ、戦闘のための戦闘が日々繰り返されるだけの虚無的な雰囲気が横溢している。フランツの部下は数多いが、いずれもキャラクターはクローズアップされていない。いつもはくだらない冗談を言い合うが、いざ戦地に出ると絶望的な状況に慄然とするという、ステレオタイプの兵士像が提示されるだけだ。
しかし、この場合はそれで正解だろう。ワン・オブ・ゼムとしての兵隊はその程度の扱いしか受けていない。皆“平等に”辛酸を嘗めるだけだ。終盤、生き残ったことが奇跡であるようなわずかな兵隊たちが目にする“ウェルカム・トゥ・ハンバーガー・ヒル”という立て札が、無常観を醸し出す。
ジョン・アーヴィンの演出はケレン味は無いものの、堅実な仕事ぶりだ。隊長役のディラン・マクダーモットをはじめ、アンソニー・バリル、マイケル・ドーランといった顔ぶれは決して派手ではないが、役柄に良くマッチしている。若い頃のドン・チードルが出ているのも要チェックだ。音楽はフィリップ・グラスで、さすがのスコアを提供している。