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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「アイズ」

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 (原題:Eyes of Laura Mars)同名の映画が複数あるが、ここで書くのは78年製作のアメリカ映画だ。脚本がジョン・カーペンターなので、映画ファンならばある程度は期待するだろう。しかし、実際は平凡なサスペンス劇。まあ、監督のアーヴィン・カーシュナーの力量を考えると、それも仕方ないと言える。ただし、キャスティングと映像そして音楽にはチェックすべきポイントはあり、その点は納得出来た。

 ニューヨークのファッション業界で活躍するカメラマンのローラは、写真集や展示会の高評価によってキャリアの絶頂にあった。そんな時、写真集の編集担当者のドリスが何者かに殺される。ローラはそのニュースを聞いて愕然とする。なぜなら、彼女は前の晩にそれと同じような夢をみていたからだ。

 またある日には、カメラのファインダーを覗いていた彼女は誰かが殺される幻影を見る。すると今度はスタジオの支配人エレーヌが絞殺される。警察はこれらが同一人物の犯行と見て関係者を取り調べるが、それぞれがアリバイがあって特定出来ない。そんな状態をあざ笑うかのように、犠牲者は増えていく。担当刑事のネヴィルは、ローラの見た幻想が事件を予言していたという事実に興味を示す。

 ローラがどうして“予知能力”を持つに至ったのか、最後まで分からない。別に説明的セリフで粉飾する必要は無いが、それらしく体裁を整えて欲しいものだ(彼女が撮るフォトが過激なものだから・・・・というのは理由にもなっていない)。また、勘が鋭い観客ならば、前半で犯人は見当が付く。ならばその動機はといえば、まさに取って付けたようなもので、説得力に欠ける。従って、ラストのカタルシスも無い。

 しかしながら、主人公の職業柄、ファッショナブルでカラフルな場面が頻繁に出てくるのは悪くない。衣装デザインはセオニ・V・アルドリッジが担当しているが、これが(公開当時としては)めっぽう良かった。しかも、バックに流れるサウンドが絶妙で(音楽担当アーティ・ケーン)、なかなか見せてくれる。

 主演のフェイ・ダナウェイは、この頃は人気絶頂で、まさにスターのオーラが輝いている。さらにネヴィルに扮していたのがトミー・リー・ジョーンズで、当時は若手ながらふてぶてしい雰囲気は健在だ(笑)。バーブラ・ストライサンドによる主題歌も良いし、鑑賞後の印象はそれほど悪いものではない。

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