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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「クリード 炎の宿敵」

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 (原題:CREED II)上映時間が必要以上に長く、中盤が間延びしてしまうのだが、ラストの処理は長年このシリーズを見続けてきた手練れの映画ファン(←私も含む ^^;)にとって、とても感慨深いものになっている。よって、低めに評価することは出来ない。それどころか、本当に観て良かったと思うほどだ。

 前作「クリード チャンプを継ぐ男」(2015年)での激闘の後、ロッキー・バルボアの指導を受けて世界チャンピオンに上り詰めたアドニス・クリードに、ロシアのボクサーであるヴィクター・ドラゴが挑戦状を叩き付ける。ヴィクターは「ロッキー4 炎の友情」(85年)でクリードの父アポロを撲殺したイワンの息子であった。ロッキーの反対を押し切って、この遺恨試合に臨んだアドニスだったが、圧倒的なヴィクターのパワーの前に為す術も無くリングに倒れてしまう。試合はヴィクターの反則行為によってアドニスの勝利となったものの、アドニスはその結果に納得しなかった。

 中盤に挿入されるアドニスと恋人ビアンカとの関係、および2人が結婚して長女を授かるくだりが、かなり長い。そしてロッキーとアドニスの養母メアリーとのやりとりや、アドニスが一時期ロッキーの元を離れるといった部分も、少しは削る余地があったと思う。

 しかしながら、30年以上前のソ連での死闘に敗れたイワンの境遇およびヴィクターの不遇、そしてロッキーとの再会は、(あれから大きく変わった世界情勢を背景に)重く扱われて見応えがある。スティーヴン・ケイプル・Jr.の演出はドラマ運びは冗長な部分もあるが、試合のシーンは畳み掛けるようなタッチで迫力満点だ。

 終盤の展開は、ロッキー役のシルヴェスター・スタローン及びパート4に引き続いてイワンを演じるドルフ・ラングレンの、それぞれ実生活での変遷が重ね合わされて、観ていると何とも言えない気持ちになる。さらには、かつてスタローン夫人であったブリジット・ニールセンが思わせぶりに登場するのだから嬉しくなった(笑)。

 主演のマイケル・B・ジョーダンアやヒロイン役のテッサ・トンプソン、ヴィクターに扮したフローリアン・ムンテアヌなど、キャストは皆好演。音楽はルドウィグ・ゴランソンが担当しているが、それよりもクライマックスに流れるお馴染みの“ロッキーのテーマ”には泣かされた。本作の結末を勘案すると続編の製作は難しいように思えるが、もしも作られたらまた観るつもりだ。

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