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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「アイアンマン3」

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 (原題:IRON MAN 3)楽しめた。題材とテーマはけっこう重いものがあるが、主人公の飄々とした造型および人を食ったユーモア精神により、ヒーロー物の領域を踏み外さずに万人にアピールする出来に仕上がっている。

 異次元宇宙からの侵略者と戦った「アベンジャーズ」から時が経ったが、アイアンマンことトニー・スタークはいまだにその精神的打撃から回復していなかった。不眠症とパニック障害に悩まされ、それを振り払うかのように新型アイアンマンスーツの開発に没頭する。そんな中、アメリカ各地で爆弾テロが発生。下手人は“マンダリン”と名乗るアラブ系過激派のようだが、そのバックにいるのは過去にスタークと因縁があった謎の科学者らしい。その魔の手は恋人のペッパーや大統領にまで及び、アイアンマンは疲れた身体にムチ打って難敵に挑む。

 最近は「ゼロ・ダーク・サーティ」や「アルゴ」などのアメリカ万歳映画が目立つが、明らかに本作はその対極にある。悪役の一人は中東への従軍でメンタル面で障害を負った者であるし、ラスト近くに明かされる黒幕は、VIPでありながら密かに世界各地でのアメリカの所業に疑問を抱いている者だったりするのだから驚かされる。

 くだんの科学者にしても、スタークの心ない言動が悪の道に突き進むきっかけとなったことは確かで、そのため主人公は悩むことになるのだ。このように物語を取り巻く状況はけっこうヘヴィだが、そこは必要以上に深くは突っ込まない。深刻ぶって自滅した「ダークナイト」シリーズの轍は踏んでいないのは賢明だ。

 実を言えばこのシリーズを観るのは今回初めてだ。パート1もパート2も未見である。しかしながら、この映画は単品としても良くまとまっており“アメコミのファン以外はお断り”みたいな取っつきにくさがないのは嬉しい。トニー・スタークは窮地に追い込まれてはいるが、どことなく楽天的だ。彼自身が天才的な発明家だということもあり、偶然知り合った少年から励まされるままに取り敢えず必要なものを自作してしまうあたりは笑った。

 監督シェーン・ブラックはアクション演出にキレがあり、アイデアの豊富さで観る者を退屈させない。ラストの大立ち回りなんか、これでもかというような重層的な段取りが用意されており、思わず手に汗を握ってしまう。主演のロバート・ダウニー Jr.は好調で、カリスマ的なヒーローとしての側面と、単なるスケベ中年との顔とを上手くブレンドさせている(笑)。相棒役のドン・チードル、敵役のガイ・ピアーズやベン・キングズレーも良い。

 でも何といってもオイシイ役どころはペッパーに扮するグウィネス・パルトロウだろう。スタークの“代打”で一時的にアイアンマンスーツを装着するだけではなく、終盤には思わぬ“大活躍”もある。ハッキリ言って私は彼女が好きではないが、今回に限っては“例外”であろう(笑)。長いエンドロールの後にエピローグと「アベンジャーズ」の面々が活躍する“予告編”まであり、当分このシリーズは見逃せそうもない。

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