(原題:ADDAMS FAMILY VALUES)93年作品。私は前作を観ていないのだが、元ネタであるTVシリーズは知っているので、この設定に何ら違和感はない。今回は新たにファミリーに加わる“ヒゲのある赤ん坊”と、クリストファー・ロイド扮するフェスターの恋のエピソードの二つを中心として、相変わらずのブラックな笑いが展開する。
フェスターの結婚相手になるのはグラマラスなベビーシッターのデビー(ジョーン・キューザック怪演)。しかし彼女は連続殺人犯。フェスターの莫大な財産目当ての結婚で、当然彼を殺そうと躍起になるが、そこは“苦痛は快感”のアダムス家の一人、全然死なないあたりは笑わせる。でも、一番面白かったエピソードは、アダムス家の二人の子供がサマーキャンプに参加する話である。
こう言っては何だが、アメリカ映画によく出てくるこの“サマーキャンプ”、私はアメリカ人の最も気色悪い風習だと思っている。ノー天気なインストラクターが出てきて、これまたノー天気なガキどもとノー天気な遊びを一日中やって頭がカラッポになるという(おー、すごい偏見)、思わず“お前ら、ヤツれたり落ち込んだりしたことねえだろ”と文句の一つも言いたくなるシロモノである。映画はこのへんを徹底的にコケにしまくるのだ。
キャンプで元気なのは白人で金髪で可愛いけど頭悪そうな女の子たちだけ。アダムス家の二人は逃げ出そうと必死になるが、捕虜収容所なみの厳戒体制(笑)でどうにもならない。しまいには監禁されてディズニー映画を三日三晩見らされ、一時的にではあるが“笑顔の似合う可愛い子供”になってしまうあたりは大爆笑である。
長女役のクリスティーナ・リッチがとてもキュートでよろしい。ラウル・ジュリアとアンジェリカ・ヒューストンの“火の出るような”ダンスシーンや、ご存知“ハンドくん”とフェスターのカー・チェイスとかの見せ場を織りまぜ、クライマックスはアダムス一家とデビーとの一大対決になるが、これがなかなかのジェット・コースター的展開で見せる。監督が「バラ色の選択」のバリー・ソネンフェルドなのでほとんど期待していなかったが、結構楽しませてくれた。
なお、3作目の「アダムス・ファミリー サン 再結集」(98年)は正式な続編ではなく、TVムービーだったらしい(私は未見)。