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Channel: 元・副会長のCinema Days
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「Gメン」

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 2023年作品。普段ならば絶対に観ないようなタイプのシャシンで、実際に映画館での鑑賞は遠慮したのだが、本作が何とキネマ旬報誌の2023年邦画ベスト・テンにおける読者投票で第一位になったのを知り、今回ネット配信ではあるがチェックした次第だ。結果、本来は鑑賞対象にならないという認識はまったく変わらず(笑)、どうしてこれが高評価になったのかは謎のままである。まあ、世の中たまに不可思議なことが起こるものだと、自分に言い聞かせるしかない。

 東京都下にある私立武華男子高校は当初は低偏差値のヤンキーが集まる学校だったが、周囲に女子高が4つも開校し、色気づいた優等生が大量に志願した結果、偏差値が爆上がり。高校1年生の門松勝太も“彼女を作りたい”という不純な理由だけで転校してきたのだが、彼に振り分けられたクラスは落ちこぼれの不良だらけの1年G組だった。クセの強いクラスメイトたちに辟易しながらも、何とか馴染むことが出来た勝太だったが、いつの間にやら凶悪組織である天王会との抗争の矢面に立たされてしまう。小沢としおの同名コミックの映画化だ。

 本作の配給元は東映だが、この映画は東映系の小屋で昔やっていた「ビー・バップ・ハイスクール」のシリーズと大差ない、いわゆる“不良高校生もの”だ。この手のシャシンは現在に至るまで各社でずっと作られていて、それなりの市場を獲得しているようだ。かく言う私も映画「ビー・バップ・ハイスクール」は全作品観ていて(笑)、それなりに楽しかったことを覚えている。ただし、それはあくまで若い頃の話だ。現時点で鑑賞して感銘を受けるとは思わないし、実際この「Gメン」も従来型の“不良高校生もの”と建て付けは一緒でまったく面白いとは思えなかった。

 テレビでよく見かける面子ばかりを集め、楽屋落ちみたいな(笑えない)ギャグの連続。演技面で評価出来る者もあまり見当たらない。まあ、乱闘シーンは頑張って撮っているのは分かるが、手練れの映画好きを唸らせるレベルにはとても達していない。監督は瑠東東一郎なる人物だが、パフォーマンスはバラエティ番組のディレクター並だ。ただ、おそらくは“固定客”がいるタイプの映画としては、マーケティング的にはこの程度で良いのだろう。

 しかしながら、あの「ビー・バップ・ハイスクール」でもキネマ旬報のベスト・テンで上位に入るなんてことは無かったし、そんなのは誰も期待していなかったはずだ。しかるに、今回の本作の“快挙”はとても信じられない。一説には主演の岸優太のファンによる“組織票”ではないかとも言われているが、それは無理があるとは思う。竜星涼や矢本悠馬、森本慎太郎、小野花梨、高良健吾、大東駿介、吉岡里帆、尾上松也、田中圭、間宮祥太朗など面子は多彩だが印象は薄い。良かったのは衣装が可愛い恒松祐里ぐらいだ。

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